2023年カード解説「別世界」
12月あっという間に過ぎていきます。
2023年版の紋章カードの解説です。
趣向を変えて物語にしていきます。
どこかの誰かの、カードが伝えてくれる物語です。
「別世界」
公園のベンチにあたる日差しが優しい。
正午と夕方の間の秋の広場は、一人がいい。
ここ数年、ずいぶん私の世界は広がった。
いろんなことにチャレンジできた。
いろんな人にも出会えた。
大切な人を見送った。
私は変わったのかしら。
相変わらず、不安はあるし、
自分はまだまだって思ってしまうこともある。
そんなところを減らしていきたいと
うっすら思ってしまう。
なんとなくこの自分を受け入れたくないところがあるんだ。
どこか、新しい世界へ連れて行ってほしいとも思う。
いったい誰に?
いったい何時になったら?
ふと 足元の自分から延びる影に目をやる。
私から延びる秋の陽からうまれた影。
私のものなのに、私とは思っていない。
でもいつも私から派生する。
それは私が見ようとしていなかったもの?
私が憧れてきた、私の新しい世界は
私の外にあったのではない?
どこか別世界へ 運んでほしいと
思ってきた世界は、ずっと私の中に眠っていたものかしら?
ベンチに隠れた影は、もうそこにはいない。
私は自分以外のものに憧れていた気がする。
でも、どこまでが自分で、どこから先が自分以外、
そんなことではないんだ。
待ち続けていた、新しい「別世界」は
もとから私の一部分だった。
追記:この物語はフィックションです。
このカードのオレンジとベージュ、その間を行き来する螺旋。
見えている自分と、見ることさえ成さない私。
どれだけ大きくなっても、自分の領域でしかない。