2024年カードコラム「ろうそく」
モノには精神性が宿る。
彼女のオープン間もないお店に行ったのは、15年以上前になると思う。
片田舎にして、こんな素敵な雑貨と、店主自作のろうそくに感激して、前のめりに店主の彼女に話しかけていた。それに反して店主はカウンターから、最低限に答えてくれた記憶がある。とっても控えめな人だった。
そのお店 iroあかり という。
店主の文子さんは、私のやや多めの知り合いの中で、「変容」した人の 5本の指に入る。
シーズンごとにお店をオープンされている今は、会うたびにその間に出会った物や人、コトを新鮮に伝えてくれる。
そして何よりも、ろうそくというカテゴリーをアートの作品として昇華し続けている。そのろうそくは時に気迫さえ感じる。その姿は、アーティストとして毎回 刺激をもらっている。貴重な存在だ。
ろうそく もカレンダーもどこにでもあって、なくても生活できるもの。だけどそこに作者の日頃の変化を投影し、人様に受け入れてもらっている。ありがたい仕事だと感じる。
静かな時間を保ちたい時 彼女のろうそくをともして、次元を作る。穏やかな火は私のためだけにゆらめいている。
表現をする者の一部は、自分を整えることを責任として行うといいと思う。もしくは作品をつくることで、整っていく者もいるだろう。